未曽有の台風被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます
台風19 号で大きなダメージを受け、その後も局地的な豪雨によって甚大な被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。
当会の会員の皆さんも例外ではなく、収穫して出荷するばかりとなった有機米1000 袋が久慈川支流の氾濫で完全に水没し、 1000 万円を超える被害を出された綿引克友さんを筆頭に、何人かの生産者が冠水被害に見舞われました。綿引さんのお米は河川周辺の田んぼということもあって 大変美味しいことで知られていますが、今回の冠水で 写真のようにラッピングした米袋が破け 、 玄米が水を吸って発酵し、異臭を放つほどになってしまいました。処分方法にも困惑する事態となっています 。
そのほかトラクターや乾燥機 ・ 自動車 ・コンバインなど全ての生産手段を奪われ、途方に暮れておられます 。農業共済保険は収穫前のイネが対象で、収穫したお米には適用にならないとのことで、当面の生活資金にも困る事態になっておられます 。この水没被害で驚きの事実もありました。化学肥料と除草剤を使って育てた減栽培米が腐ってグズグズになって腐ってしまったのに、有機栽培米は腐らなかったということです。改めて化学肥料や農薬を使わずに自然の循環機能を活かした有機米の力を認識し、励まされたとのことです。
被害の大きさには及びませんが、当座の生活資金への支援金としてご支援頂けますよう同封の振
替用紙にて振り込んで 頂けます様、宜しくお願い致します。期日は12月20日までと致します。
台風19 号は有機米の生産者にとって 大変 厄介な 事態を引き起こしました。
➀慣行水田に囲まれた有機水田の場合、隣接の慣行水田から殺虫・殺菌剤などの化学物質が流れ込んだ場合、有機米としての格付けが出来なくなります。幸いほとんどの農家は既に収穫を終えておりましたから、格付けできなくなった会員農家は綿引さんの他数名だけでした。
②来年の作付けはどうなるかですが、慣行水田の収穫も終わっていましたので流入した水に化学農薬・化学肥料が多く含まれているとは考えにくい状況でした。したがって、通常の河川水が流れ込んだ程度であれば汚染はなかったものと考えたいと思います。
➂土砂やワラが流れ込んだケースもあります。この場合は土砂・藁を撤去し、来年の作付け時期をおくらせて、冠水した日時ラップが外れ崩れ落ちた米袋1000袋の一部と乾燥機水没したトラクターと軽自動車から1年後(2020年10月12日以降)に収穫されるよう作付けを遅らせて対処したいと思います。(農水省の登録認証機関の統一見解)栃木県でコシヒカリを5月15日前後に播種し、6月20日以降に移植すれば、出穂が8月20日前後になり、10月12日以降まで収穫時期を遅らせることが可能になります。ちなみに研究所の付属農場では5月14日にポット1粒播きの育苗を開始し、7月3日に移植しました。8月20日出穂、刈り取りは10月19日でした。
有機JAS農産物は以上のように栽培に際し、化学物質や化学肥料を永遠に使わないだけでなく、田畑の汚染に対しても厳しい対処を要請していますが、地球温暖化の影響でこのような風水害が多発する事態になると完ぺきな対応(人によって重箱の端を突くような要求をする方もいます)を求めることは有機農業者を抹殺することになりかねません。国民や子供たちの健康を考え、放射能に汚染され、風水害にも痛めつけられながら、必死に頑張ってこられている有機農業者のみなさんが希望をもって営農できるよう消費者のみなさまや行政の方々に、特段のご配慮いただきたいと思います。
恒例のイネ刈り体験が束の間の晴天の下で開催されました。10月26日(土)前も後も雨という天候不順のなか、久しぶりの晴天に恵まれ、よつ葉生協の会員さん、スタッフ総勢80名で稲刈り体験会をひらきました。天候不順のこの秋、台風直後のため参加者は少なくなりましたが奇跡的な一日でした。小麦跡に植えた黒米・緑米・赤米の水田から、最も早く実ってきた赤米を収穫しました。35日間育てた5.5葉のポット苗で1本植をした古代米です。6月23日と遅い田植でしたが、コナギが少し生えただけで、順調な生育となり、1株の株数は平均25本もありました。1つの穂には約100粒の籾が付いていましたから1粒の種子が2500粒に増えたことになります。
参加された皆さんは手刈りした赤米を束ねてはざ掛けし、一束だけ、足踏み脱穀機でもみを外し、唐箕で葉やごみを取り除き、最後にエンペラー脱ぷ機で玄米にしました。茶色の籾を入れると赤いお米が出てくるのでみんなびっくり、喜んで持ち帰って頂きました。少し遅い昼食ではけんちん汁に舌ずつみを打って、無事終了しました。午後は自由散策・生き物調査・ザリガニ取り・大型コンバイン試乗会と楽しんだ1日でした。(稲葉記)
入手方法:民間稲作研究所会員への入会