岩﨑充利氏(「ミツバチからのメッセージ」撮影・監督)をお迎えし、
 
新作「赤とんぼがいない秋」の上映会を開催!

あらたに、「放射能除染&ミツバチ救出プロジェクト」がスタート




             NPO法人民間稲作研究所では1月13日、
岩﨑充利氏をお迎えし、
農薬・フィプロニルの問題を指摘した新作
「赤とんぼがいない秋」を上映。
会場でのディスカッションを経て、
赤トンボの救出にもつながる
「放射能除染&ミツバチ救出プロジェクト」を
スタートさせました。
 


■科学者の目で冷静に原因を突き止める

岩﨑充利監督の映画「ミツバチからのメッセージ」は、ネオニコチノイド系農薬によるミツバチの大量死を生々しく描き、一般家庭にまで入り込んだネオニコチノイド系農薬の危険性を多くの人に知らしめました。その監督が2年の歳月をかけて制作したのが、「赤とんぼがいない秋」。上映に先立ち岩﨑氏は、「2〜3年前から各地の有機農家から、赤トンボがいない、減ったと聞き調査を始めた。ミツバチは養蜂家が注視していたが、赤トンボはいなくなってからようやく気付いた。研究者もなかなか見つからず、昨年やっと赤トンボの研究者に出会い、完成にこぎつけた」と話されました。

 
    あいさつされる岩崎充利氏
   「赤とんぼがいない秋」制作委員会
TEL&FAX 0493-74-6134
メール akatonboinai@gmail.com 
映画は、「むかし、田んぼの稲が実るころ、空一面に飛んでいた赤トンボ。日本のどこでも見ることができた風景でした。その赤トンボがいつのまにか、いなくなってしまいました」というナレーションで始まります。赤トンボの一種アキアカネは、1頭が約1000の卵を産むという強い繁殖力を持ちます。にもかかわらず、なぜ減少しているのか。温暖化か、作付面積の減少か、乾田化か、中干しかと、研究者は非常に冷静に考えられる原因をひとつひとつ消去していきます。そしてたどり着いたのが、育苗箱施用浸透性農薬。イミダクロプリドというネオニコチノイド系農薬(アドマイヤー)とフィプロニル(プリンス)です。90年代の終わりから使用され、2010年には日本の約60%の水田で使用されていると算出。これが卵からかえるヤゴを殺すのではないかと推察しています。ヤゴの生存率を調べた実験でも、イミダクロプリド30%、フィプロニル0%という結果が、この推察を裏付けます。


■1万分の1、あるいは10万分の1に減っている 

ではいったい、どこで、どのくらい減っているのか。ミツバチと異なりあまりにもふつうに見られた赤トンボは、農薬が使われなかった時代のデータがなく、またくわしい生態もわかっていません。しかし各地の調査から浮き彫りにされたのは、怖ろしいことに「前年からどのくらい減ったのかわからないほど、減っている」ということ。一部に減少率の少ない県はあるものの、「それ以外の県では、1万分の1とか10万分の1に減っているのではないか」という研究者の言葉が重くのしかかります。

さらに研究者は一定期間ごとに田んぼの水を採取し、ヤゴの死亡率を調べます。その結果、フィプロニルは光や微生物による分解で変化し、毒性が10〜20倍に、場合によってはそれ以上強くなることを解明。毒性は分解によって無害化されるわけではなく、逆に強いものに変化している可能性がある、と述べます。


■家庭に入り込んだ、子どもの脳神経に影響を及ぼす化学物質

映画は、身近な農薬の危険性にも言及。ゴキブリ用殺虫剤(フィプロニル)、コバエ殺虫剤(ジノテフラン、ネオニコ系)、家庭菜園用殺虫剤(アセタミプリド、ネオニコ系)など、一般家庭に入り込んでいるフィプロニル、ネオニコチノイド系農薬の危険性を訴えます。また米や野菜、果物の中に浸透し、実、茎、葉を食べる虫を殺す農薬であり、効き目が1〜2カ月と長く続くため散布回数が抑えられ、そのため減農薬栽培に使われやすいとのこと。無味無臭のため散布してもわからず、作物の中に浸透するため洗っても落とすことはできないと警告します。

さらにEU、アメリカと、日本の、アセタミプリドの基準値を比較。EU、アメリカの5〜30倍もゆるい日本の基準値に警鐘を鳴らします。また国際会議で行われた脳神経科学者の黒田洋一郎博士による、子どもの脳神経に影響を与えるネオニコチノイド系農薬の報告が盛り込まれ、最後に当研究所・稲葉光國代表による殺虫剤、除草剤を使わない稲作の方法も紹介されています。

上映を終え岩﨑氏は、「ネオニコチノイド系農薬は神経を興奮状態にして殺すが、フィプロニルは興奮を抑えるギャバという物質の作用を阻害する農薬。しかも蓄積する。市販の家庭用殺虫剤は農薬ではないため、規制もかけられていない。フィプロニルがネオニコとともに子どもたちの脳に多大な影響を与えていると思うと、非常に怖い」と述べました。


■原発よりも根の深い、ネオニコチノイド、フィプロニル問題

その後のフリーディスカッションでは、養蜂家を含めて、除染を進めながら赤トンボ、ミツバチを守るための議論が行われ、下記のような意見が出されました。

●2月16〜17日の民間稲作研究所シンポジウムに、JA職員や役場の森林担当者などを呼んで、意見を聞きたい。

●10年ほど前、群馬の小児科医・青山美子先生に講演をいただいたとき、県職員などに出席いただき、県内の空中散布を止めさせることができた。

●有機圃場に農薬をかけられたら、損害賠償を請求するべき。そうすることで止めさせることができる。

●20年間自然相手に暮らしている養蜂家だが、アメリカザリガニがいなくなり、ドジョウが楊枝ほどに細くなった。19年度からラジコンヘリで、原液を6〜8倍に薄めた農薬が撒かれるようになったからだと思う。わたしたちが400倍希釈で使っている農薬だ。平成20年からミツバチがおかしくなり、一昨年は70群、昨年は100群が全滅し、スズメやヤマバトも減った。スズメは寿命が1年だから1年後にわかるが、寿命の長い人間はどうなるのか。

●農薬は誤飲や誤用を避けるため、ふつう色や臭いを付けている。しかしネオニコやフィプロニルは無色、無臭。親が知らずに子どもに曝露させている。映画の中でリンゴ畑を散歩した子どもが発狂に似た状態になったとあったが、容易ならざる事態だ。

●作る人や農薬会社の人もみんな、体に悪いことは知っている。しかし、使わないと作物ができないと思っている。エネルギー確保に原発が不可欠という考え方と同じで、根が深い。農薬を使わずに作物を作り、農薬なしでもできることを身をもって証明するしかない。

●環境保全型農業直接支払いが始まってから、農薬を半分に減らすために、効果の持続するネオニコチノイド系農薬、フィプロニルが使われている。

●通常1000〜2000倍の希釈で使う農薬が、有人ヘリなら8〜15倍、無人なら5〜8倍の希釈が認められ、それを水源涵養林に撒いてしまう。結果、飲み水に入ってしまっている。

●ネオニコチノイドなどの塩素系農薬は長期残留する。消費者がいかに早く気付くかだ。

●農薬の危険性は徐々に現れるので、わかりづらい。


■養蜂家とともに、ミツバチ救出プロジェクト発進!

議論が尽くされたところで、稲葉代表から「放射能除染&ミツバチ救出プロジェクト」が提案されました。田んぼの生きものたちは、有機栽培や農薬削減農法で救うことができますが、行動範囲が広く、春から秋まで花粉を食べ、蜜を集めるミツバチを救うのは難しいことでした。「それは6〜11月、特に真夏に咲く花が少ないために、ネオニコチノイド系農薬を使った稲やトウモロコシの花粉を食べてしまい、それにより帰巣能力を失ったり大量死に結びついていたから」とのこと。

しかしヒマワリを栽培してみるとミツバチがよく飛来する上、6〜11月までずっと開花し、しかも開花期の花にはセシウムはあまり移行せず結実期に急速に移行することがわかりました。そこでヒマワリを福島、栃木、茨城を中心に栽培し、無農薬ヒマワリの栽培面積を広げてミツバチの生存環境を整え、ミツバチの救出とともに、農薬の影響、放射能の影響を調査し、ミツバチの大量死の原因を究明しようというプロジェクトを提案しました。

またコールド製法による質のよい植物油の生産、販売が可能となったことを報告。さらに除染の方法については、2回代かきや油脂植物とイネの二毛作や油脂植物の輪作によってセシウムの吸収をうながし、収穫残さを効率よく回収し、もみがら燻炭製造器で低温の炭化・灰化を行う方法をおこなっていると報告。これにより「田畑からセシウムを外部に出さずに回収し、濃縮保管が可能になった」と述べました。

この日ご参加いただいた養蜂家からも積極的なご協力を表明していただき、栽培面積、種子、飼育方法など具体的なお話も聞けました。また埼玉の養蜂場からもご協力いただけ埼玉もプロジェクト・エリアに加えることとなり、喫緊の農業の問題に養蜂家、稲作農家が手を組み、「放射能除染&ミツバチ救出プロジェクト」の第一歩を踏み出しました。



この日の午前中には、手作り味噌の会による味噌造りが行われ、2日間で約200㎏の大豆を煮ました