民間稲作研究所とは
環境創造型稲作を研究しています
古来より日本では、稲作を中心とした農業が行われてきました。灌漑のために水を治め、広大な湿地と呼ぶにもふさわしい水田を開き、雑木林を整備して、自然の力を活用した農法を開発し、子々孫々まで伝える・・・。そうした人と自然が交じり合った営みが、原生林や原野とはまた違った環境をつくり、その環境に適応して住み着いた動植物がより多くの多様性をもたらしてきました。
第二次大戦後に本格化した、農薬や化学肥料の使用を前提とした農業は、効率化と生産性をもたらすとともに、日本人が古くから自然とともに築きあげてきた環境を破壊し、生き物たちを蹂躙しています。環境を破壊する行為は自分達にもはね返ってきます。農薬によって人間自身の健康が害され、化学肥料を多用された土壌は微生物の多様性が失われ、動植物の多様性を失った農村は居住環境としての魅力を失い、農業自体の存続までが危ぶまれるようになってしまいました。
自然との共存を無視する形で進んできた人類の歩みは、間違った方向へ進んで来てしまっていると言えます。しかし、すべてを過去に巻き戻すことはできません。歩みの中で得た知識や技術のすべてが無駄であるはずもありません。人類にとっては、自然との共存を取り戻しながら、現代の知識と技術を活かした新しい環境を創造する方向へと、歩むべき時代なのではないでしょうか。自然への憧憬や過去への懐古ではなく、なによりも、日本の農業を持続可能な産業として子孫に引き継ぐために、私達は自然環境と新たな折り合いをつけていく必要があるのです。
民間稲作研究所では、化学合成した農薬や化学肥料を一切使わずに、自然環境を活かし利用することで、日本の主食である米を効率よく生産する方法を研究しています。この農法が広まることで、人類と自然が共存する新しい環境が創造される社会に貢献することができると考えます。
代表挨拶
NPO法人民間稲作研究所理事長
舘野廣幸
NPO法人民間稲作研究所は30年前から無農薬・有機稲作を探究してきた団体です。そして創立者稲葉光國が稲の無除草・無農薬栽培を実現してきました。これまで長年研究開発してきた抑草技術は、全国の有機農家も自らの圃場で無農薬で草取りをしない稲作としてひろがってきました。
私たちは、この無農薬・有機稲作技術を全国に普及して、日本の稲作を無農薬で実現したい希望をもっています。日本の稲作は、かつてはすべて無農薬で行われておりました。いまではそこに化学肥料と農薬を持ち込んで、すっかり自然を壊す稲作になっています。私たちは、こうした水田に自然の生きものを蘇らせ、自然と共にお米作りをする目標に向かって歩んでいます。
これから、私たち民間稲作研究所の有機稲作技術が普及していくことで、日本の豊かな水田に生きものがたくさん戻り、無農薬のお米が広く普及すると考えています。そして、なにより子どもたちが無農薬のお米を食べられるようにしていきたいと考えています。そのためにはみなさまひとりひとりのご理解とお力が必要です。
どうぞ私たち民間稲作研究所の研究と有機稲作の普及の活動に対し、よろしくご支援をお願い申し上げます。
設立者・稲葉光國の想い
平成9年に発足し、13年(2001年)NPO法人となった民間稲作研究所は、有機稲作の技術確立に取り組んで19年目を迎えました。成苗2本植研究会から数えると41年間の歳月を費やしたことになります。「誰でも何処でもできる有機稲作の技術体系」が7年前にやっと完成致しました。名付けて「いのち育む有機稲作」です。
有機農業推進法が2006年12月8日に可決成立し、本格的な普及の時代に入りました。有機農業の新世紀元年を迎えるにあたり、DVD「これからの昔のイネづくり―よみがえる いのち育む有機稲作」が浅野光彦氏によって完成し、「あなたにもできる 無農薬・有機のイネづくり」も農文協より出版できました。2008年には地域有機農業施設整備事業の指定を受け、NPO法人民間稲作研究所有機農業技術支援センターが2009年6月に竣工しました。ご協力をいただいた多くの関係者のみなさまに心から感謝申し上げたいと思います。
日本の農業、なかでも主食であり、日本文化の根幹を形成してきた稲作が崩壊の危機に瀕するなかで、その打開策は日本の農業が有機稲作を核とした環境保全型農業に転換すること以外にないと考えております。
日本の稲作が本来持っていた自然の循環機能を活かし、多くの生きものを育み、農村文化を形成してきた豊かな内容を取り戻し、安心安全な農産物を提供し、同時に稲作経営や農村崩壊の危機を乗り越えるという大きなテーマはまだスタートラインについたばかりです。TPPの批准によって海外から多くの食材が輸入され、ポストハーベスト農薬、遺伝子組み換え農産物、BSE汚染牛などが輸入され、腐敗防止のための各種添加物が大量に出回って食源病に侵される人々が増えてきました。未来を担う子どもたちに安全な食料を提供するためにイネだけでなく、麦・大豆・油糧作物など主要な穀類は有機で栽培し、添加物を一切使わない加工食品の製造技術も研究してきました。安心・安全な食品の開発はこれからが、正念場です。関係者が協力し、時代認識を共有しながらそれぞれの力を発揮することが求められている時代ではないかと思います。
当研究所が開発してきた「いのち育む有機稲作」を核として循環型の有機農場が各地域で実践され、さらに磨をかけられて、その地域にあった有機農場として地産地消の先頭に立つことを願っています。
日本の農業の再建、そしてアジア各国の農業の発展のために努力したいという願いで発足した当研究所の運営に、今後ともご指導、ご支援のほどお願い申し上げます。
NPO法人 民間稲作研究所
設立者 稲葉光國
概要
法人名 | NPO法人民間稲作研究所 |
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代表者 | 舘野 廣幸 |
設立者 | 稲葉 光國(日本の稲作を守る会) |
所在地 | 〒329-0526 栃木県河内郡上三川町鞘堂72 |
TEL | 0285-53-1133 |
FAX | 0285-53-1133 |
アクセス | ■公共交通機関をご利用の場合 ■お車でお越しの場合 |
駐車場 | 有り(10台) |
有機農業技術支援センター
所在地 | 栃木県河内郡上三川町下神主下原233-1 |
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TEL | 0285-37-7366 ※繋がらない場合はこちらへ民間稲作研究所:0285-53-1133 |
FAX | 0285-53-1133 |