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2024年度NPO法人民間稲作研究所 公開シンポジウム(予告、案)

日 時2025年2月15日(土)13時~16日(日)12時30分
会 場コンセーレ(栃木県青年会館) アイリスホール [宇都宮市駒生1-1-6]
テーマNP『食と農 足元から見つめ直す ―グローバルに考えてローカルに行動する― 』

今日の我が国の農業の現状を端的に要約すると、「 人も病み・土も病む 」にあるといえます。人(人間労働)は価値を生み出す本源であり、土(土地)は基本的な生産手段です。つまり、農業にとって人も土も極めて重要なファクターであり、これら症状が年々悪化しているわけで、この状態が続けば持続的な食料システムの構築には赤信号がともっているといえます。

こうした状況から脱却するために、健康な農業・農村(地域社会)を再構築するための方策を考えてみます。ひとつは、農業経営や農か生活などを規定する上部構造といえる社会・経済の矛盾点を見つめ直し、人間優先の社会・経済のあり方を。もう一つは、農業生産の基礎である土壌について、従来の理化学的視点から土壌生態学的視点で見つめ直し、持続的な土地利用のあり方を、それぞれ検討したいと思います。

なお、従来は壇上とフロアと討議する時間が少なく、不完全燃焼で終わっております。今年度は報告者を減らし、フロアとの討議時間を増やしました。みなさんの活発な討議を期待します。


第1日目タイトル:「グローバル化における地域農業の再構築」
座長:小林 舞(京都大学大学院経済学研究科)※敬称略、以下同様]
基調講演:平賀緑(京都橘大学経済学部)「政治経済のカラクリと食べもの問題」

[要旨]:現在の農業・食料システムは「資本主義的食料システム」として、人の健康や自然環境より、お金で計ることができる利潤拡大と経済成長を追求し続けるシステムです。企業が儲け「経済成長」するほど、切り捨てられた / 搾り取られた人や自然が壊れていくのは当然のこと。さらに、いまや農地も食料の価格も短期的にお金を増やすための「投機」の対象となり、マネーゲームの駒になっていることも注目すべき問題です。

誰ひとりとして取り残さず「食」を保障するためには、資本主義経済に組み込まれた農業・食料システムとしての実態を把握した上で、食べる側の現状を正しく把握し必要な支援をすることが重要で、その方策として「地域に根ざした食と農と経済のネットワーク」を提案します。命のための経世済民を取り戻すために。

[参考文献]

  • 平賀緑『食べものから学ぶ現代社会 私たちを動かす資本主義のカラクリ』2024年
  • 『食べものから学ぶ世界史 人も自然も壊さない経済とは?』2021年。岩波ジュニア新書

現地報告:國母克行(こくぼ農園) 「アグロエコロジーを基調とした農業経営と地域との結びつき」

[要旨]:栃木県南東部の真岡市において、約4haの有機農業を経営しており、米麦大豆の主穀作を中心に、油糧作物として菜種、エゴマ、及び50品目ほどの野菜を栽培しています。栽培の特徴としては主穀、油糧作物、野菜を含め輪作体系を中心に、産直提携、直売、地元豆腐店、パン店などへの供給に取組んでいます。また、油糧作物は自家搾油を行い販売もしています。自家用を中心に麹、味噌、醤油、納豆など発酵食品の製造と、併せてワークショップも開催し、真の食料自給率を高める取り組みもしています。もう1つの特徴は社会運動の実践です。食の安全・安心を求める消費者の農作業体験や、産直提携から一歩進んだ消費者参加型環境調和農業~アグロエコロジー~を目指しています。

討 論 


第2日目タイトル:「生物多様性と健康な土づくり」
座長:粟生田忠雄(新潟大学農学部)
基調報告:金子信博(福島大学食農学類)「土壌の生態系を活かす有機農業」

[要旨]:農業では耕すことが基本的な農地管理です。しかし、「緑の革命」を支えるさまざまな技術と耕うんの組み合わせは、土壌劣化と環境汚染、食の質の低下を招きました。農業のもっとも重要な資本である土壌は、地球上でもっとも生物多様性が高く、生物同士の活動により本来持続的に生産を支えるものです。その本来の働きを活かすにはまず耕うんをやめる必要があります。土壌の生態系を活かす管理を追求することが有機農業の基本であるということについてお話しします。

参考文献:金子信博『ミミズの農業改革』みすず書房、2023年

現地報告:川俣文人(川俣農場)「大規模主穀作有機農業の安定生産を目指して」

[要旨]: 県央部に位置する上三川町において、20haの土地利用型有機農業経営を行っています。全面積有機JASを取得して、水稲・麦・大豆・ハトムギ・ナタネ・そばを作付けしています。経営の特徴として、輪作・緑肥の作付け、身近な農業資源を活用した自家製肥料(培土・たい肥など)によるコスト削減と地力増強を図っていることがあげられます。水稲では、水田ごとに異なる優占雑草に対して、耕耘と代かきによって酸化・還元をコントロールする方法を実践し成果をあげています。

討 論

閉 会

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