有機稲作

民間稲作研究所では、無農薬・化学肥料不使用で有機JAS認証を取得する米作りの技術を開発しています。

イネの主な病害虫と現在の防除法

農作物の大きな障害である、病気、害虫、雑草に対して、従来の農法(慣行栽培)では、病気→殺菌剤、害虫→殺虫剤、雑草→除草剤、というように、直接的な方法で対処してきました。これらの薬剤を利用する方法では、原因→対応→結果の因果関係が明快で防除が徹底的に行える一方、環境の汚染、薬剤耐性を持った病原菌や害虫への果てしない対応、薬剤購入のための費用負担などの問題を抱えています。
除草剤や殺虫剤、殺菌剤を使わない有機稲作では、土壌、稲、そして田んぼに生息する生物の性質をつぶさに観察し、それらが本来もつ力を活用することで、病気・害虫・雑草の影響をを無理やりゼロに抑えるのではなく、最小限に抑えたうえで、障害に負けない健康な稲を育てます。また、稲の持つ繁殖能力を最大限に引き出すことで、収量の増加を目指します。

主な病害虫 防除時期 慣行栽培・特別栽培
(減農薬・減化学肥料栽培)
無農薬・有機栽培
馬鹿苗病
芯枯線虫
育苗期(4月) ベンレート、ホーマイ、有機リン剤・ネオニコチノイド剤
温湯消毒法(6~7割に)
温湯消毒法(100%)
雑草対策 田植前30日~6月 3種混合除草剤(ヒエ・コナギ・オモダカ・クロクワイ) 2回代かき・常時湛水栽培機械除草
イネミズゾウムシ 播種・田植と同時又は直後(4~5月) ネオニコチノイド又はフィプロニル系農薬 前年度に堆肥投入。健苗移植
イネドロオイムシ 田植後(5月) 春先に堆肥を入れない
ヒメトビウンカ 6月中旬 作期移動、少肥栽培、アマガエルなど生物多様性防除
ニカメイチュウ 出穂10日前
(7月)
ネット被覆育苗
イモチ病 出穂期(8月) 嵐、アチーブ、アミスター、イモチエース、オリゼメート 多肥・密植・過繁茂・根ぐされの防止
カメムシ 出穂期(8月) ネオニコチノイド又はフィプロニル系農薬 作期移動、少肥栽培、生物多様性防除
トビイロウンカ 収穫直前(9月) 水攻め、少肥栽培、生物多様性防除
コクガ・コクゾウ 貯蔵・出荷時(10月) 清掃・低温保管

生物の多様性を活かした有機水田の害虫防除法
【総合的生物多様性管理(Integrated Biodiversiry Management : IBM )】

米ぬかの投入でイトミミズ・ユスリカ類等の餌動物が増加し、カエルやクモが増える

害虫の天敵となるカエルやクモは、1年中ずっと害虫ばかりを食べているわけではありません。害虫以外の「餌動物」が豊かな環境でこそ、害虫を食べる生き物も数を増やすことができます。

えさ動物
(ただの虫
ではない)
ユスリカの成虫
ユスリカ成虫
ミジンコ
ミジンコ
ユスリカの幼虫
ユスリカ幼虫
害虫
ウンカ
ウンカ
カメムシ
カメムシ
ツマグロヨコバイ
ツマグロヨコバイ
虫を食べる
天敵
ナガコガネグモ
ナガコガネグモ
アキアカネ
アキアカネ
アマガエル
アマガエル
アカガエル
アカガエル

 

クモの巣
縦・横に糸を張るクモ、徘徊するクモ
4月から代かき湛水し、中干しを6月中旬から7月中旬に延期。カエル・赤とんぼが増える。
ユスリカと畦畔の草刈管理で増えるクモ

民間稲作研究所の書籍

下記の書籍もご参照ください。

あなたにもできる 無農薬・有機のイネつくり
あなたにもできる
無農薬・有機のイネつくり
農山漁村文化協会(農文協)出版
太茎・大穂のイネつくり
太茎・大穂のイネつくり
農山漁村文化協会(農文協)出版
除草剤を使わないイネつくり
除草剤を使わないイネつくり
農山漁村文化協会(農文協)出版