ブータン王国での生物多様性農業の普及事業について

国民総生産(GDP)の概念を捨て、国民総幸福量(GNH)を政策の中心に据えたブータン王国。2020年までに有機農業100%をめざして頑張っているが、除草剤は使用せざるを得ない状況との農業大臣の報告をお聞きし、農業省の了解を得て、5月31日から6月6日まで「除草剤を使わない稲作の実現可能性」を視察検討してきました。

田坂興亜先生とともにバンコク経由でパロ空港に入り、首都のティンプーに宿泊し、農業省の職員のご案内で、プナカの農業試験場やパロの農業機械化センターなどを中心に中西部地区の水田を見てきました。

水田雑草はヒエ・コナギ・ヒルムシロが主な雑草であり、日本とほぼ同じものでした。田植えが「正条植え」から「やたら植え」に代わってしまったこともあって手押しの除草機が入らず、除草剤に頼らざるを得ない状況でした。特にヒルムシロが除草剤でも防除できない雑草とのことで担当者は苦労しているようです。

除草剤を使わない雑草防除の方法を提案してきましたが、最大の問題は水路がなく、安定した水管理ができないことでした。そのため畑の雑草も繁茂してしまい、平均単収は250㎏とのこと、収量の安定化という点でも水利環境の整備が先決ではないかという提案をしてきました。

ほとんど水利施設のない現状では、除草剤を使わない稲作は、手作業による除草しか残されていません。除草剤を使う方法よりもはるかに優れた除草法である「生物の多様性を活用する2回代掻き、深水管理抑草法」の実証圃の設置場所が見当たらない状態でした。

途方に暮れているなかで、最後に訪れたパロ空港近くの農業機械化センターで、実証圃を設置することが可能であることが確認され、ここを拠点に実証圃を設置し、成功のための方法を提示できれば、ブータンの有機稲作の普及拠点になると考えられました。奇しくもこの農業機械化センターは「西岡京治」氏の事務所だったところで、記念館もあり、JICAの職員が3名常駐している場所でした。

トヨタ環境助成金の一次選考にパスしたことから、国際貢献の意義を認めて下さる方々のご支援を受け、ブータン農業の発展と生物の多様性保全に貢献したいと考えております。

水利条件の改善が大きな課題
河川に沿った水田でも田植え直後から水がない。湿性雑草が繁茂する?
  • 水不足なのか、田植の済んだ田んぼに水はなく、河川には豊かに水が流れていた。
  • 電気は豊富なので、用水による灌漑が可能ではないか。
  • 小規模な堰の設置によってい灌漑することも可能ではないか。
水のない水田
河川からの揚水
1.河川に小規模な堰を設ける。 2.揚水ポンプを設置する。
堰の設置
有機稲作プロジェクトチームの結成と試験圃場の確保
(日本+栽培・農業機械化センター職員:パロ・ボンディ地区)
1.水田単作試験圃場
(1-1トラクター使用圃場 1-2ハンドトラクター使用圃場 1-3手作業圃場)
2.輪作試験圃場(イネ-レンゲ・なたね-大豆・イネなど)